04/12 1000HIT お礼小説 第2弾

お礼小説第2弾。

偽りの平穏の雨丸視点です。

彩花よりもこっちが先に出来ちゃいました？？

う～ん。
いまいち雨丸視点としてうまく書けていないような、いるような･･･？？？

楽しんでいただければよいのですが･･･。
リベンジは彩花視点かなぁ。

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「―――それだけで、連れて行かせられるわけ･･･」 

雨丸は、王太の言葉を聞きながら、やっと会うことのできる最愛の人を思い浮かべていた。 










漆黒の髪に、黒曜石の瞳の･･･雨丸の片割れ。 
最後に会ったのは。 

もう、6･･･いや7年は前だろうか。 

何も知らずに、鳥かごで生きていた頃。 

多分、なりふり構わずに探し出してくれた彼のことを･･････。 
僕は知らなかった。 

会って。
話して。 

思い出せた奇跡を、忘れてはいけない。 

そう。 

だって。
奇跡が二度起こるとは限らないのだから。 


あの時。
僕たちは話し合って決めた。 

WSに復讐する為に、僕はここに残り、彩花は組織を作ると。 

あれから数年。 

すべての準備が整って。
僕はちょっとだけ勇み足を踏んだけれど。 

もう、ここに居る理由など無いのだから、問題にはならないだろう。 










ふと感じた気配に、雨丸は視線を入り口に向ける。 

そこには。 

すべてを黒で統一した彩花が、気配無く、音ひとつ立てずに部屋に入り込んいた。 



軽く振り上げられた彩花の右腕に、雨丸は、終わりを思う。 

準備のための長い時間は、ついに終わる。
これからは、準備したものすべてを利用して行動を起こす時間。 

「めぇ。遅くなってしまいましたか？」 

「ううん。そんなことないよ」 

砂沙 雨丸としての、偽りの姿も、感情も、口調も今日のこの時で終わりを告げる。 

これからは、めぇとしての雨丸の時間。 
彩花のパートナーとしての時間。



「そうですか？　それは良かった。少々騒がしかったので、心配してしまいました」 

「僕も動いちゃったから。・・・ダメだった？？」 

雨丸の言葉に。

彩花は、軽く頭を振り答えた。

「いいえ。すべてはめぇの好きなように」 

「あやに怒られるかと思った」 

本当は

ほんの少しだけの可能性として。
彩花が雨丸を怒る理由があった。

長い時間をかけて、準備したことを。
雨丸の行動はダメにしてしまう可能性があったから。

でも･･････。

「僕がめぇに対して怒る筈がないでしょう？」 

「そうだよね。大好きだよ、あや」 

「僕もめぇが大好きですよ」 

雨丸は嬉しそうに、彩花に抱きつき、彩花も軽い笑みを浮かべて雨丸を抱きしめ返す。

その時。

いままでは気付かなかった。

ふんわりと。

ほんのかすかに漂う、オレンジシトラスの香りに･･･。

雨丸は、彩花から身体を離すと。
驚きで丸くなった瞳で、彩花を見つめた。





この香りは･･･。

雨丸が。

彩花のことを思い。
危険を冒して一度だけ送った誕生日プレゼント。

迎えに来てくれた今日。

きっと。

この日を祝うためだけに。
彩花はこの香りを今ここで纏ってくれている。

「じゃあ、行きましょうか」 

「うん。そうだね」 

差し出された彩花の手を握り返し。

ふと思い出したように、交通課のメンバーに雨丸は目を向ける。


動くことも無く。
声を出すことも無く。

今の今まで会話の邪魔をさせることは無かった。

嬉しいことだったけれど。

それは。
なぜ･･････？

「邪魔はできないようにしておきましたからね」 

彩花が雨丸の疑問を理解していたのか、答えた。

「力の応用です。動くことも、話すことも彼らは出来ませんよ」と。



「すごいや。準備万端だねっ！！」 

「では、行きましょうか？」 

「うん。あ、そうだ・・・」

最後にこの言葉だけは告げておかないといけない。










雨丸は。

呆然とこちらを凝視しているメンバーを見渡し。

偽りの、現パートナーに声を掛ける。





「さようなら、班長？」 





別にもう二度と会わないということはありえないけれど。

貴方のパートナーとして立つ事はもう無いのだから。


挨拶は。

別れの言葉がベストだと思う。


だから。


さようなら。



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