08/02 平穏との交差点

一つ前同様、コンセプトは奪われた片割れ。

こちらは、雨丸人質(雨丸記憶なし)、彩花任務実行です。
次の話もこっちはちょこっと考えてたりします、かな？
 

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ザワリとしていた一体の空気がぴんっと張り詰めて。
到着する。

裏の顔。
陰の部隊。

残酷な再会が平穏に終わりを告げる。

忘れさせられた子供と。
今を守るために自分を捨てた子供。

交わる筈の無い時間が、今、交差する。










平穏との交差点










連絡が入り姿を見せたのは、たった一人。

藍色の髪をなびかせ、青年と少年が入り交じったまだ若い隊員が、交通課へと歩み寄る。

冷然とした雰囲気を携え、辺りに沈黙を守らせたまま。





「ここからは、下がっていてください。巻き込まれようと助ける気はありませんので」

歩み寄り、隣りを通り過ぎる際に落とされた言葉。

それはこれから起こす事を告げると同時に、障害となるモノは排除すると言うこと。

その障害が。

物であろうと。
者であろうと。

味方であろうと。
敵であろうと。

気にするつもりも、気に掛けるつもりもないという事。

そして。

それは交通課という課にとって、到底受け入れられないことだろうと分かっていたけれど。

伝えておく必要はあった。



「まてよ！」

キツい口調で呼び止める交通課の隊員。

いや、彼はあの年で栄児で班長の小枝王太だったか。

面倒だと思いつつも足を止め振り返る。

「何か？」

邪魔になるなら消えてもらうという雰囲気を一瞬にして造り上げると、相手は一瞬言葉に詰まる。

だが、伝えなければ彼は犠牲にされる何かがあるのだろう。
一度は閉じた口をまた開いて告げた。

「うちの隊員が人質にされてる」

「だから、なんだと言うのです」

大事な者は一人だけ。
守るためには何を犠牲にしようと構わない。

それだけは、確定していることなのだから。

「なっ！！！」

予想出来ていた返事ではなかったのか。
それとも、予想は付いていたが、許せる内容ではなかったのか。

どちらにしても私には関係ないこと。

「私が行うべきは犯人の抹殺。その他の障害など知った事ではありません」

何を壊そうと。
誰を殺そうと。

守れるならば気にならないのだから。





もう、用は無いと、犯人の潜伏場所に足を向けると。

後ろから最後に、ありえない筈の名前が聞こえた。





「あいつをっ。･･････雨丸を犠牲にするつもりかっ！！！」





激情と共に叩き付けられた言葉に、動きが止まる。




「さめ、ま、る･･････？」





ありえない。

ありえない。

ありえない。

―――そんな筈は無い。



ありえてはならない。





なのに。
なぜ、その名前がここであがる？

彼は。

雨丸（私の兄）は。

私の服従と引き換えに、自由と安全が保証されているというのに。





だから私はここに居るというのに。





「どこまでっ！」





どこまで利用し尽くすつもりなんだ。

私の服従と引き換えと言い出したのは、WSだと言うのに。

それとも、私との言葉など、守る必要が無いとでもいうのだろうか

いや、今は関係ない。
そんな事よりも、どうやって怪我をさせずに雨丸（めぇ）を取り戻すかを考えなければ。

私が怪我をしたところで問題などない。

命が終わるその瞬間まで、私は雨丸（めぇ）の為にあるのだから。





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