03/18 完全ご都合主義。もしも―――・・・

もしも、WSに残っていたのが、雨丸ではなく彩花だったなら。
話はどんな風に展開したんだろう？

これってちょっと考えてしまったんですよね。

やっぱり、雨も彩と引き離されたことを憶えていたら復讐に走ったかな？

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めぇっ！　つかまって。

あーちゃん。

速く。先に上がって。僕が最後で良いから。

うん･･･。

これからは、ずっと一緒だよ、めぇ。

ずうっと？？

そう、ずうっとだよ。めぇ。だから、急いでね。

うん。














「おかえりぃ、氷魚」

「ただいま、戻りました」

くるりと椅子を回転させて声をかけてきた少年に、氷魚は答える。
子供のように無邪気に声をかけてきたとしても、相手はこの“縁”のトップ。
不興を買えばこの場で処分されるのは、当然のこと。



「さて、今回の件の話を聞かせてもらうよ」

少年の傍らに立つ少女から声が掛かる。
そして、続きを引き継ぐように少年が声をつむぐ。


「うん。そうだね。今回は大失敗だね。･･･それで、比良と由良を置いてきた理由は？」

返答しだいでは殺すよ？

柔らかい表情の笑顔、言葉、そして、重苦しいほどの殺気を持って問いかける。

「あの二人はプロですどんな目にあってもこちらの事は吐かないでしょう。でも、私が問いかけた際、あの二人は「自分達は二人で一人」だと言った」

「つかまって引き離されるくらいならば、ああしてやるのが一番良いと思ったのです」




パチパチパチ
遊ぶように少年は手を打ち、そのとおりだと答える。

「あの二人は、二人で一人だからね」
「触れられない？」
「言葉一つ届かない？」
「そんな場所に置いてはいけない」

「「たとえ、どんな事になっても」」


正解だよという言葉とともに部屋の張り詰めていた空気が解ける。







「それで、今回のお土産は？」

あるんでしょう？と軽く聞いてくる少年に、氷魚は小さなチップを差し出す。

「ノイズだらけで申し訳ありませんが･･･WS交通課のエイジの映像です」



数度映った黒髪に２人は目を見張る。

ずいぶんと前に失った。かけがえの無いもの。
その姿と被る容姿。

次にはっきりと映ったその姿。

腰を超えるほどに長くなっている髪。でも、間違えるはずは無い。
彼は･･････。


「氷魚。彼の、名前は分かるよね？」

「砂沙･･･彩花と言いますが？」


「あやはな？」
「本当に彩花と言うのですね？」



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