03/22 お題 02: 虚ろな存在

本日、狛さまのところで行われたチャットにお邪魔してきちゃいました。
とても楽しかったです。

その際に企画がありまして、霧堵も参加させていただくことに。

お題攻略？系です。
詳しいことは、始まってからまた載せることにしますね。

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ピッ、ピッ、ピッ、ピッ･･････。

一定の電信音が、余り広く無い殺風景な部屋の中に響く。

ただその音だけが。

ベッドを囲うように置かれた機械に山の様なコードで繋がれた、彩花の生存を伝えていた。

 

 

 

 

雨丸は、透明なケースに手を付いて、中にいる彩花の表情を眺める。

本当は。

すぐ傍で見て、手をつないで温かさを確かめたい。

けれども、任務の際に大怪我を負った彩花には治療が必要で。

失ったら絶対に生きていけないから。

大人しく傍に居ることで我慢している。

一日でも。
一刻でも。
一秒でも。

早く目を覚まして。

ボクの名前を呼んでほしいから。

 

 

 

 

「雨丸？  またここか･･････」

ガチャリ。
ドアノブの回る音がすると、入って来た人物から声が掛かる。

「博士」

「眺めていてもすぐに快復するものではない。」

室内を歩き、雨丸の隣りに立つ。

雨丸は、イスに座ったまま博士を見上げる。

「博士、彩はどのくらいこの中に居るの？」

「先日の縁との戦いの際に、油断してしまったのは彩花のミスだ。まあ、一週間もすれば、ここから出て問題ないだろう」

「一週間･･････」

「その間一人で任務に就けとは言わない。ただし、彩花が快復すれば刑事課と一緒に縁を追ってもらう。」

「はぁい」

「では、雨丸は今から検査だ」

博士に付き従う様に、雨丸はイスから立ち上がるドアに向かう。

一言、彩花に、バイバイまた後でねと告げて。

 

 

 

 

すり替えた記憶はどうなっている。

安定しています。
もともと、雨丸には強い暗示を掛けて別人格に生活させて居ましたから。
その記憶を奪って、空白に造り上げた記憶を埋めてあります。
ブレは発生しないでしょう。

彩花の方は。

治療と記憶の書き換えを同時に行っています。

状況は？

60％終了と言ったところですね。

目覚めた時には、記憶は安定しているのだな？

はい。
その後はこちらの事に従順になるかと。

ならば、良い。
あれらはまだ使い道があるのだからな。

 

 

 

 

 

まるで影のように。
全てを奪われたその存在はいずれなくなり。

与えられたもののみが。
表で光輝く。

世界には。

表があるがゆえに裏があり。
光があるがゆえに陰が出来る。

光を存在させるための陰は必然であり、必要なものだと。

断定されたがゆえの存在。

長い。

長すぎるほど、長い。
ゆりかごの中の時間が始まる。





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