04/17 1000HIT お礼小説 第3弾

お礼小説第3弾です。

今回は青柳さまのリク。
帰る場所の続編になります。

誰視点かな？？とか思ってますが。
なぜか書いた霧堵が･･･

蜜歌の死にネタ＆雨丸のWS裏切りと言ったところでしょうか。


それでは。

どうぞ。

---

一陣の風が吹き抜けたかの様に。 

気付いた時には。 

彼らは入り込んみ。 

希望。
喜び。
願い。

そして。

次なる混乱を持ち込もうとしていた。 










「ただいま・・・？　蜜歌。遅くなっちゃってごめんね？」 

蜜歌を拘束して居たWSの隊員の首に手刀を落とし。
一瞬にして昏倒させた彼は。 

とても楽しげな声で、蜜歌に話しかけた。 

「いいえ。・・・お帰りなさい。めぇ」 

その口調と仕草。
そして、彩花が隣に佇んでいることを考えれば。 

蜜歌には。
すぐに分かった。 

長い間不在だった。 

死んだとされていた。 

彩花のパートナー。 

雨丸。
・・・めぇが帰ってきたのだと。 





「願いを叶えに来たんだけど・・・。どうして欲しい？」 

「めぇが、私の願いを叶えてくれるのですか？」 

蜜歌は驚いたように聞き返す。

その理由が。
分からないわけではないのだろう。

雨丸は、楽しげな表情を崩すことなく答えた。

「うん。そうだよ。だって蜜歌は彩花を守ってくれたんだもん」 

「守れていたでしょうか･･････」

「もちろんだよ。だから、蜜歌は願いを言ってくれれば良いからね」










私は。

彩花はめぇを誰よりも、なによりも大切にしていたことを知っている。

そして。

彩花の。

引き離された時の悲しみ。

死んだと聞かされたときの絶望。

生きていることが分かった時の希望と。

小さな不安と恐怖。

すべてを傍らで見てきた。

だからこそ。

めぇが特別な何かを行うということを
許すとは思わなかったのだ。

でも･･････

めぇの表情も、彩花の雰囲気も。

認めていて。
選んでよいと言ってくれていた。

なら。

私が選ぶのは。
たった一つ。









「真音のところへ送って貰えますか」

蜜歌の願いは。

思っていた答えと同じだったのだろう。

雨丸は少しだけ悲しそうに。
彩花は少しだけ複雑そうに。

蜜歌を見つめた。

「うん。そう言うと思ってたんだ」

雨丸が小さく呟く。

「だめ、ですか？」

「ううん。送ってあげるよ」

雨丸は蜜歌に答えると、ナイフを片手でしっかりと握り締める。

振り上げられたその腕に。

蜜歌は安堵の息を零し。
瞳を閉じた。


「蜜歌。･･･どうか幸せに･･････」


蜜歌が聞いた最後の音は。

耳元で落とされた。
雨丸の囁きとなった。










「何を。･･････なぜ殺したんだ」

驚きと。
多分、不安を宿した音を。

祖父と名乗っていた。
白井　晴十郎が落とした。

「何を今更言いたいのですか。ENISHIを放置していた貴方が」

雨丸は、蜜歌の血で黒く染まったWSの制服を気にすることなく返した。

含まれたENISHIの意味を。
はっきりと聞き取れたのだろう。

驚きに目を見開き。
こちらを凝視していた。

「今回は、これ以上何もしませんよ。でも。･･････今回はだということを忘れないで下さいね」

「さめ･･････」

「あなたに名前を呼ばれるいわれはありません」


雨丸は。
いままで一度だとて見せた事の無かった能面のような表情で淡々と告げる。



「では。さようなら」



雨丸のこの言葉を合図だったのか。

雨丸と彩花。
そして、蜜歌の遺体がその場から消えた。





その場に残された晴十郎は。

崩れ落ちるかのように。
その場に。

沈んだ。










この場で。

真実、雨丸の言葉を理解できたものは。

その言葉の意味を伝えなかった。


ただ。

見たままを。

彼らは、真実とした。


意味を知らぬ彼らは。

これからを。

理解することは無かった―――



web拍手を送る