06/04 そろそろ、続き物を一つくらい終わらせたいかなぁ

和白さまへ
遅くなってしまいましたが、相互記念の小説です。

彩雨でほのぼの。
ほのぼののつもりです。

霧堵はつもりなんてつけちゃってますし、苦情も受け付けます･･･。



それでは。
どうぞ。

---

幸せという言葉は。

ありふれているけれど。
とても尊いものだと思う。

君と僕が出会ってから。
もう何年目になるんだろうね？

でも、今も。
今までも、何も不満に思うことが無い。

今が怖いくらい幸せで。
失えない。

かけがえの無い時間。










「彩っ！！　今日はどこに行くの？？？」

隣から雨丸が楽しそうに彩花に話しかける。

今日は久しぶりの野外訓練。
施設の中での戦闘よりも障害物も多く、またアクシデントも起こりやすいため難易度が上がると言われている。

だが、そんなことよりもなによりも。

野外訓練を楽しみにしているENISHIは多い。

それは･･･
時間内に訓練さえ終わらせてしまえば、余った時間は好きに使うことが許されているためだ。

外出が許されているはずが無いENISHI達にとって、野外訓練はもっぱら遊びに行くことの出来る時間と言っても過言ではない。

そして、それは。

雨丸や彩花にとっても同じこと。

「めぇ。まだ始まっても居ませんが･･････もう後のことですか？」

彩花は責め口調で。
でも本当は雨丸の楽しそうな行動を当たり前に受け止めているのだけれど。

「だって。僕と彩だもん。いつもみたいに直ぐに終わるよ」

「ええ。まぁ。その通りなんですけどね。簡単でしたし」

「そうなの？？？」

不思議そうに首を傾げた雨丸に、彩花は「ええ」と答えた。

雨丸は今回の指令の内容を知らない。
というよりも、いつも指令は彩花が理解し、雨丸に伝えるというパターンを取っている。

今回もいつものように、訓練内容を書かれた内容の白い用紙は、彩花が一通り読み終わった後で燃やして消してしまった。

当たり前のことだけれど。
指令書は持ち歩くことなど許されていない。

渡されてから破棄するまでの時間も決められていて、破った場合のペナルティはそれなりに大きい。
その為、各自時間はギリギリまで使っても。

危ない、理解が最後まで終わってない場合でも破棄してしまうことの方が多い。

しかし、そんな中で。
彩花はいつも簡単に速読し、理解すると燃やして無くしてしまう。

だが、雨丸がその行動を不安に思うことも、また起こり得ない。

信用できる人物も。
信頼できる人物も。

雨丸にとっては彩花だけで。
彩花にとっては雨丸だけなのだから。

「今日の任務は、ちょっと時間が掛かってしまいそうですが。終了時間より、そうですね･･････。2時間くらいは早く終われると思いますよ」

「2時間かぁ」

いつもはだいたい3時間程度余る。
それを考えれば、遊べる時間は短く感じても仕方が無いだろう。

そんな雨丸に彩花は気を引くだろう意見を出す。

「めぇの好きな、パフェを食べに行ったらどうですか？　前回、見つけた―――。距離がありますから、往復で30分取るとしても。十分堪能できそうですよ」

前回の訓練中に見つけたのだが、残念ながら行かなかったお店。
そこに、行くのも楽しそうだと彩花は雨丸に告げたのだ。

「そうだね。彩がそういうなら、今日はそうする」

「じゃあ、行きましょうか」

「うん」

にっこりと微笑み手を差し伸べた彩花の手に、雨丸は己の手を重ね。
まず、先に行うべき事を、と考える。

「大丈夫ですよ。いつも通りに、僕が伝えますから」

「よろしくね、彩」

「もちろんですよ、めぇ」










彩花が伝えてきたとおりに、そのまま雨丸は行動を起こし。
不足が無いように、彩花が雨丸のサポートを行う。

予定人数を確保すれば、今回の任務は終了する。

雨丸に怪我がないように。
彩花が怪我をしないように。

パートナーを守りつつも、攻撃を行い。
的確に、相手を突く。



終わってみればやはり、彩花が告げたように予定時間の1時間と50分前。
約2時間前。



「めぇ。それじゃあ行きましょうか」

「うん」



「「特大プリンパフェを食べに」」



くすくすと笑みを零しながら、雨丸と彩花は駆け足で進んだ。










隣に居る幸せを忘れたくない。
忘れはしない。

隣に在り。

思い、思われ。

ほんの少しの自由を二人で楽しみ。

小さな箱庭での生活は過ぎてゆく。

常に。

いつも在る幸せを忘れることはなく。





web拍手を送る