10/12 引越しって契約ないんだってさぁ

本日。
訪問見積もり、って言うのをしてもらいました。

その時に聞いたのですが、引越し屋さんに契約書って無いんですね。
その見積書が契約書の代わりになるって言ってて、ちょっと驚きました。

いくらくらいになるのか知りたかっただけなんだけどなぁとか思いつつ。
場所は近いし･･･ねぎってみましたが、相場がよくわからないんですよね。

明日、もう一社見積もりを貰ってどっちかに決めるつもり、かなぁ。

もう、今日のアリさんでもＯＫかなとか正直思ってるんだけどね。
営業？の人の対応良かったし。

まぁ、明日しだいかなぁ。

---

目の前にいる人物は。

今はここに無いはずの人で。
当分は日本に帰って来ないと言っていたのに。

いきなり押し込められた応接室のソファーにどっしりと腰を落としていたのは･･･。

確かに。
祖父の白井　晴十郎だった。










「おじい様！？　西野さんも･･･。一体、なぜこちらに？　というか、当分日本には帰っていらっしゃらなかったのでは？」

「ふふ。･･･久しぶりだな、彩花」

あの･･････。
かなりその表情が嬉しくないのですけど、というか･･･西野さんが抱えてるあれって･･････っ！

彩花にとって、正直、思い出したくない過去が蘇りそうな事態だった。

「久しぶりなんだから。さぁ、おいでっ！！！」

「申し訳ありません。彩花さま。･･･よろしくお願いいたします」

祖父、晴十郎の付き人である西野が左手に手持ちのカセットレコーダーを掲げている。
右手が、そのスイッチに伸びたかと思うと、ガシャンと何かの壊れる音が鳴った。

「彩花？　なぜ、昔のように挨拶をしてくれないのだい」



「冗談では在りません。絶対に嫌です」

怒気をはらんだまま、彩花は言い捨てた。



先ほどまで、晴十郎の前方に居た彩花は、今は西野の隣に立っていた。

ガシャンと鳴った音は、西野が掲げていたかカセットレコーダーが叩き落されて壊れた音。

あせったように動く、と言うか感情のままに彩花が動くということは意外とまれなのだから、晴十郎と会ったことで彩花も自分のペースと言うものを崩されていることがすでに目に見えて現れているのだろう。



「挨拶だろう。なぜ、ダメなんだい？」

「その冗談はもうどこかで打ち捨てて帰ってきてくださっても良かったのに。―――全く、幼い頃の私にあんなことを挨拶だと教え込んだことも・・・・・・っ。私は、怒ってるんですからね。聞かれてますか！！？？」



彩花の怒りに震える姿という、珍しいものを拝ませてもらった･･･。

というか。
その、教え込んだという内容が知りたい―――っ！！

あのカセットレコーダーは何に使われる予定だったんだ！！？？

交通課の面々の思うところは一つだった。










「てか、彩花の祖父なぁ･･･。てか、何処の誰なんだ？」

二人の口争いにはまったく介入せずに、王太が呟いた内容に西野が驚いたように答える。

「ご存じないのですか！？　あのお方は―――」
「10年前に引退するまで、刑事課の『栄児』･･･」

シュンと言う音とものに入ってきた京平が、西野の言葉を遮って続ける。

「それも―――22年もの間その頂点に君臨した伝説の『大栄児』。あなたが、あの白井　晴十郎さんですね」

お会いできて光栄ですと会釈をする京平。
その隣で、王太は、ほへぇ―――と感心しつつ情報を整理していた。

「交通課エイジの平　京平と申します」

「ほお、ずいぶん昔のことも知っているのだね。君が交通課の班長かい？」

彩花から声を掛けてきた京平へと顔を向けた晴十郎に、京平は王太を手で示して答えた。

「こちらがうちの班長です」

「小枝　王太だ。よろしくな、面白いじーちゃん」
「はは。君もまた素直だな」

右手を出して挨拶をした王太に晴十郎は笑いながら同じく右手を出して握手した。










「あの、それで･･････。おじい様。―――わざわざいらっしゃった下さったのですから、何かご用件が在ったのでは？」

穏やかな雰囲気になんとなく居難いものを感じつつも、王太と晴十郎の間に入り込むようにして話しかける。

「いいや。久しぶりに帰ってくることができたからね、彩花に会いに来たのだよ」

「そ、そうですか」

安心したような、ちょっとだけ驚いたような思いで返した彩花に。

晴十郎はあっさりと、まるで何事でもないことのように告げた。



ただ、そろそろＷＳ（ここ）をやめて家に戻ってもらおうか、と･･････





web拍手を送る