03/27 苦手なんだけど、これはスキ

苦手なんだけど、これだけは好きって言うものあります？

霧堵はキノコが大嫌いだけど、グラタンに入れるのだけは好きだったりします。
マッシュルームでなく？
と聞かれたりしますが、それもきのこの一種ですよね？




さて、rain+rainさまのところでフリーになっていたので貰ってきてしまいました。


『Sweet Strawberry』
ホワイトデーフリー小説　王雨です。

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「さーめ丸！」
「班長？　一体どうしたんですか？」

　行き成り声をかけられ目を丸くして班長を見れば、ニッと笑顔を向けられた。

「こないだのお礼がしたくってさ！」
「この間の…お礼？」
「そうそ！　お礼♪」

　この間のお礼と言われても、まったく思い当たる出来事がない。
　不思議そうに首を傾げていると班長が「ほら」と何かを突き出してきた。

「？　何ですかそれ」
「いいから。口開けろって」
「そんな事行き成り言われても…」
「……雨丸？」
「ハィィイッ！」

　班長のドスのきいた呼びかけに、オレは後先考えず大きく口を開けた。


　すると……


「っ!?」


　何かを口の中に放り込まれた。


　目を白黒させて驚いていると、口の中に甘く広がるイチゴの味。舌の上でころころと転がるそれは、多分飴玉だろう。

「…アメ……ですか？」
「当たり♪」

　問うように聞けば、班長が楽しそうに答える。


「えっと、ありがとうございます」
「どういたしましてー♪」

　戸惑いながらもお礼を口にすれば、やはりどこか楽しそうな班長。

　今日の班長は何故かとても楽しそうだ。

　何か良い事でもあったのだろうか、と思ったが、聞いても巧くはぐらかされるだけだろう。


　そのまま会話が途切れ、沈黙が続く。


　しばらく黙って飴玉を舐めていると、班長がオレの前まで移動して来た。
　晴れ渡る青空の覗く窓をバックに班長はオレの右手を握る。

「ほら、行くぞ」
「え？　行くって…どこに？」
「どこに行くかは付いてくりゃ分かるって」
「えぇ!?　ちょ、班長！」

　班長に握られている右手を引っ張られ、オレはイスから立ち上がった。
　そのまま班長はオレを振り返り、楽しそうな笑みを浮かべる。


「今日は仕事の事も忘れて、思いっ切り楽しもうな！」


　そんな笑顔を向けられたら、班長に反論する事も問いただす事も出来なくなる。

　だから思わず、

「はい」

　と言うのだった。



　結局。

　その日は一日中班長に連れまわされ、クタクタになるまで遊びまくった。

　帰り際にもう一個イチゴ味の飴玉をくれたのは、一体どういう意味だったんだろう？



♯ホワイトデーフリー小説です。こんなのでよかったらもらって帰ってください。
　ホワイトデーのお返しはイチゴ味の飴玉。
　一応、設定としてはバレンタインフリー小説だった「君だからこそ」の後日談。



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