05/21 続きです。

奏翔さま宛ての相互記念小説の続きです。

長くなったので。
前後編にしてます。

楽しんでいただけると幸いです。

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二人で部屋から。
施設から抜け出すことは。

それほど難しいことではなかった。

そもそも。
見つかれば処分されることが分かっている、ENISHIが勝手な行動をすることなどまれ。
というよりも、ほとんどありえないことだろう。

少し気分転換･･･と言うよりも。
自分の存在自体を懸けた、気分転換と言う名のギャンブルをしようと思うものなど居ない。

そもそも。
パートナーさえ傍らに居れば。
それ以外を求めない。

それが、ENISHIなのかもしれない。

都合の良い様に作られていると思わないことも無いけれど。
仕方が無い。

自由よりもパートナーが大事で。

正義と言う名の対処をしている時だろうと。
一番に行うべきは。

守るべきは。

その意思ではなく、パートナーという存在なのだから。










堅く閉ざされた協会の門。

雨丸と彩花はひらりと門を飛び越えると庭園へと向う。

2メートルを超す高さも。
二人の邪魔になることは無い。

聖堂の前を通り過ぎると。

昼間。

通り過ぎた際に見かけた庭園が見える。

ただ、柵に囲われただけの。
色とりどりの庭に。

二人はひっそりと降り立った。










「綺麗ですね。めぇ」

真白い。月明かりの下。
白い花も薄く蒼く色づいているような。

通り過ぎたときに感じた時とはまた違う趣き。

「きれい。･･････ほんとにきれい」

彩花も。
雨丸も。

こんな風に落ち着いた中で。
澄んだ空の下で。

外に居たことなどない。

「来て、良かったですね」

「うん」

ふたりでぼーと。

何をするでもなく眺めて過ごすこの時間が。
ずっと。ずっと続けば。

続いていくのだとすれば。

それが。
平穏と言うのかもしれない。

雨丸も。
彩花も。

そんな時間も世界も知らないけれど。

知ることの出来たこの思いを大切にしたい。










また、内緒で来ましょうか

うん。
でも、こんどは･･････

どうしました？？？

こんどはみんなできたいね

そうですね。
では。外に出たら一番にしましょう。みんなで。

うん。こんどはみんなとだね。










穏やかに二人で約束を交わし、二人で来た路を帰る。

居るべき場所。
二人で在れるべき場所へと。










奇しくもその日は。

彩花と雨丸が引き離されることとなったその日の。
ちょうど一年前。

約束を交わした穏やかなその日。

絶対に守ると。
強く願っていた。

その思いを忘れずに居たからこその出来事だったのかもしれない。

あの別れの日の。



ちょうど一年前のある日―――･･････





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