08/11 ＲＡＮＫ登録企画 で貰っちゃいました♪

桂華徒然の桂華さまにいただきました。

ＲＡＮＫ登録企画の際にリクエストさせていただきました『黒彩＆黒雨でWSと全面対決して欲しいです。もうやっちゃえって言うくらいに。雨丸の所属は最終的には彩の傍らに立って、一緒にWSと対立してくれれば♪』とお願いしまして、書いていただきました。

後編です。

無邪気な笑みに紅蓮の炎を瞳に宿し、高らかに決別を宣言する雨丸にＷＳメンバーが息を飲む。
「だ・・・だけど、それでも！！お前は、俺たちと一緒に楽しく笑って過ごしていただろ。なのに、なぜこんなことが出来るんだ！！」
王太は、苦しそうに胸を押さえ崩れそうになる足に力を込め立ち上がる。
俺たちと過ごした時間に、嘘はないだろうと叫ぶ王太を雨丸はただ冷ややかに見つめる。

まだ立てるんだ、もう少し強く蹴ればよかったかな最近運動不足だから鈍ってるとか。
それにしても、本気で俺が王太班長達といて楽しんでいたと思うなら本当におめでたいですね。
彩花と離れ離れになっているのに、心から喜べると。
嘘に塗り固められた時間に真実なんて一つもありはしない。
「俺とお前は、例えお前がそのためだけにＷＳにいたんだとしてもパートナーとして過ごした日々に変わりないだろ。だから・・「黙りなさい」」
「虫唾が走るんですよ！！だれが、めぇのパートナーですって冗談もほどほどにしていないと今ここで貴方の息の根を止めて差し上げますよ。」
僅かな望みを乗せた王太の言葉は、最後まで発せられる事無く傍観者を決め込んでいた彩花によって無常にも遮られた。
あらら、彩の逆鱗にふれちゃったよ。
まぁ～、後は彩にませてればいいかな。
「お前は・・・・・」
王太の見つめる先には、どこか雨丸に似た容姿の青年が憎悪を瞳に宿しこちらに近づいてくるのが見えた。

これが、めぇのパートナーをしていたと思うだけで殺してしまいそうですよ。
「初めまして、小枝王太。僕は、彩花といいます。雨丸の本当のパートナーです。」
「本当のパートナー？」
驚きに見開かれた瞳に、笑いがこみ上げてくる。
何をそんなに驚く事があるのでしょうね。
生まれてこれまで、いいえ生涯めぇのパートナーは僕だけだというのに。
それとも、めぇのパートナーは自分だとでも勘違いしているんですかね。
「ええ、パートナーですよ。雨丸の唯一無二のね。」
そういい終えると雨丸へと延ばされていた王太の手を彩花が踏みつける。
僕のめぇに汚い手で触れるんじゃありませんよ。
「これ以上、ここにいても不愉快になるだけです。さぁ、帰りましょうめぇ。僕達の居場所へ。」
彩花の手を取り、その場から去ろうとする雨丸達の背へと新たな人物の声がかかる。
「待ちなさい！！貴方達を見逃すわけにはいかないわ。」
雨丸が声のした方を振り向けば、壁に寄りかかりながら賢明にこちらに向かってくる綾乃の姿が目に入った。
うわ～、ボロボロよくアレで歩けるな。
でも、死んでないってことは手加減したのかな彩達？
運よく逃げ切ったとかかな、それなら逃げてればよかったのにわざわざ殺されに来たようなものだよね。
「おやおや、総司令官さんその深手でどうやって僕達を捕まえる気ですか。」
彩も同じような事を思ったのか声音がどこか呆れがまぎれていた。
「貴方達が悠長にしている間に、ここは完全に包囲させてもらったわ。」
「そうですか、それは楽しみですね。本当に、僕達を包囲出来ているのならですが。」
「あら、貴方達こそ私たちを甘く見てるんじゃないかしら。」
不適な笑みを浮かべる綾乃に、臆することなく彩花は近づくとその耳元に何事かをささやく。
「残念ですよ。せっかく用意してくれていた、特殊部隊も氷魚に用意させた人形だけで全部片付いてしまいました。次は、もう少し手ごたえのある人たちを用意してください。」
たかが、ＷＳの特殊部隊が僕達を止められるわけがないでしょうと冷笑を浮かべる。
それが、合図だったかのようにドンと大きな音を立ていくつモノの黒い影が建物から落ちてくるのが綾乃の目に入った。
そこには、至る所から血が流れ出し生きているのか死んでいるのかさえも判別の出来なくなった特殊部隊の姿があった。
目の前に広がる信じがたい光景に、崩れ落ちる綾乃に興味をそがれた彩花は倒れ伏すＷＳ職員達に目を向ける。
「まったく、あまりにも歯ごたえが無さ過ぎてつまらないですね。特殊部もエイジも人形でこれですからね。もう少し、楽しめると思ったんですが。所詮、エイジ（栄児）と言ってもこの程度ですか。」
彩花は、雨丸の横に立ちＷＳ本部を仰ぎ見る。
やはり、僕達を処分しようなんて考えた貴方達の落ち度ですね。
ただ、僕達を黙認していればよかったのに処分しようなんて考えるから悪いんですよ。

「さて、迎えも来たようですし今日のところは前哨戦ということで引き下がることにしましょう。次に、僕達と合間見えるときはその命懸けてもらいます。」
砂煙と轟音とともに現れたのは、漆黒のボディーには特殊部と同じＥＮＩＳＨＩのシンボルが刻まれたヘリだった。
氷の微笑を湛え、彩花の何も映していない瞳がWSの職員達を射抜く。
誰もが、その場に縫い付けられたように微動だにする事ができなかった。
その様子に、雨丸は心の底から嘲りの声をもらす。
「命がけの鬼ごっこをしましょう。貴方達が俺達を捕まえるのが先か、それとも俺達がＷＳを壊してしまうのが先か。楽しい狩をしましょうよ。」
どちらが、ハンターかは一目瞭然だけどね。
「「楽しみにしてます（よ）。どちらが、逃げ切るか。」」
それでは、皆さん次に会う時は命がけの鬼ごっこの始まりです。

雨丸は、後ろを振り返ることも無く自分に寄り添う半身だけを感じる。
何も感じない、ただ半身のもとに帰ってきたという思いが心を満たし。
彩花に力強く抱きしめられ、ここ以外に自分の帰る場所などありはしないと再確認させられる。

残されたWSの者たちは、反逆者として半身に寄り添い自分達に背を向けた雨丸が乗り込んだヘリの遠のいていく影を追うことしかできなかった。
地面に這い蹲り、慟哭の叫びを上げる王太の声が空へと虚しく響くだけ。



まぁ、逃げ切るのは僕たちに決まっていますけどね。
せいぜい、僕とめぇが味わった離別の苦しみの対価を受け取るがいい。
誰にも僕達を止めることなんて出来やしないんですから。

ＷＳに贖罪を
存在さえも消されてしまった兄弟達へ、最高の美酒を




end





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