07/02 すっかり放置でした。

申し訳ない？？！！

現実、仕事が忙しくてかなり放置だったことに気がつきました。
すみません。
これ、一応、7/2にupだったはずだったんですが、非公開にしてたことに全く気付いてませんでした。
というわけで、本日気がついたので公開に変更しときます。





風路の翠紗さまにいただきました。

3000hitでフリーだったものを頂いてきちゃいました♪
彩雨ですｖｖ

君が愛しい。

たとえ曇り硝子の鳥籠の世界でも。
脆い玻璃で出来た虚構のような世界でも。

君だけが愛しいよ。



in the gray world



｢雨上がらないね｣

ボクが本を読んでいると、めぇがぽつりとそう零した。

僅かに憂いが含まれる声音に、顔を上げ片割れの方へと視線を動かすと、沈んだ表情が視界に映った。

｢昨日も雨だったのに……｣


めぇは大きな窓に手を付け、鈍色の空から落ちる雨を見つめている。
ボクに話し掛けているのかどうか定かではないけど、静かに問い掛けた。

｢めぇは雨が嫌い？｣

｢ううん。嫌いじゃないよ｣

その言葉に小さく首を傾げる。

｢それじゃ、どうして雨が上がって欲しいの？｣

｢だって｣

｢だって？｣

｢雨が降ってると灰色だから……｣

灰色？

なんのことだろう。


めぇとは生まれる前から一緒だけど、でもやっぱり違う人間だから、全部が同じ視点じゃない

だから、たまに理解出来ない言葉があって。
それが、どうしようもなく哀しくて悲しくて、恨めしい。

めぇの１番の理解者でありたいのに。そうじゃなきゃ、パートナーだなんて言えない。


｢灰色って何が？｣

｢外の世界が｣

外の世界……。

この建物に囚われているボク達は、ここ以外の《世界》を知らない。
唯一の例外は窓から見える切取られた世界だけ。

その世界が、雨のせいで鮮やかさを失い灰色に染まってしまうから、雨が止むのを願っているのだとようやく解った。


それに小さく息をつくと、本をサイドテーブルに置いてめぇの横に並んだ。
同じように世界を見下ろして、空を仰いだ。


｢大丈夫、もうすぐ止むよ｣

｢ほんとっ！？｣

｢うん｣

肯定すれば瞳を輝かせて破顔する様子に、こちらまで嬉しくなってくる。

この笑顔を向けられている優越感にも似た至福。


２人、手を繋いで未だに止まない雨を見る。
その温かな存在に頬を緩めた。




ねぇ、君が愛しいよ
どんな世界でも輝いている君が

とても愛しい